私は高卒自衛官勤務24年(永年勤続25年まであと1年だった)から異業種の動物に関わる仕事へ転職しました。
今までの経験や知識は、全くではありませんが役には立ちません。
- 武器の扱い
- 整備工具の取り扱い
- 格闘技術
- 自衛隊規則や法令の知識
を捨てて、動物の扱いや掃除道具の取り扱い、調教技術、動物の分類や主食の知識を新たに学ぶ。
役に立ったのは体力、筋力、忍耐力、運転技術、円ピ(剣先スコップ)の扱いでしょうか(笑)
今回はそんな私の自衛官から動物飼育員への転職体験談を、ご紹介いたします。
Contents
42歳で自衛隊から転職し新たなる挑戦へ
新たな挑戦、学び、物覚えは悪くなり始めているのに1から覚え、掃除や汚物処理、エサ運び、獣舎の温度管理、動物の体調管理、エサ・飲み水の管理、先輩は年下ばかり、同期も年下、ジェネレーションギャップ。
しかし、後悔は全くしておりません。
むしろ、趣味をしながら仕事をしているのですから、充実感が半端ないです(笑)。
幼い頃から動物に関わる仕事を目標に勉強を続け、大学の獣医学部を目指していました。
高3の後半、模試の結果、希望大学に合格する確率の低さに絶望し、親の勧めで自衛官へ…
公務員なのだから暇を見つけて趣味で生き物を飼ったり動物に関わったりすればいいんじゃないの?
との親の提案とは裏腹に、自衛官の仕事は
- 忙しく
- 規則に厳しく
- 独身自衛官は寮生活でペット不可…
自衛官の仕事に徐々に没頭して、洗脳されてたのかもなぁ
自衛官から転職!私の人生を変えるきっかけ
動物への関心は薄れ、体力が付いたために運動系の趣味が多くなりました。
その趣味が高じて結婚、住宅購入、子宝と幸せな家庭を築いた…つもりでした…
デスクワーク系の係職に就くようになってから体力は激減し、仕事量は増え、残業が増加、家庭そっちのけで仕事に没頭して疲労を溜めこみ、仕事も家庭も空回り、疲れて不眠症からうつ病へ…
投薬治療や入院・リハビリ、自殺未遂や逃亡を経て回復・完治したものの別居生活…別居生活中のある時、ふと
よし!人生を変えようか!
と思い立ったのでした。
まずは職場に内緒で転職サイト3社に登録。
転職サイトを通じて合同企業説明会(転職EXPO)に参加し(もちろん職場には内緒)、転職に必要な心構えや履歴書の書き方(自己アピールの方法)など、転職のノウハウを学びました。
その頃の自分への課題は「これから何に情熱を注ぐか考える」でした。
自分の取得資格を活用し、高給でやりがいのある仕事、自分の長所・得意を活用できる仕事をじっくりと探しました。
しかし、ある時突然に見つけてしまいました。
なにげなく、検索キーワードを自分の好きな「動物」で検索してみると、ある転職サイトの「動物飼育スタッフ募集」の記事を…
自衛官から”好き”を仕事にする道のり
心の根本にあった(動物に関わる仕事がしたい)という夢が、くすぶって消えそうになっていたものが一気に燃え上がりました。
どうしようか考えること丸1日、ついに「応募する」のボタンをクリックしました。
その瞬間は今でも忘れることができません。
ここが私の人生の変換点になると心に刻み、スマホに指が触れる瞬間を…
しばらくしてメールが届きました。
この度はご応募いただきありがとうございます。面接の前に書類選考を…
直ぐさま、履歴書作成に取り掛かりました。
転職サイトであらかじめ準備しておいたレジュメ(履歴書や職務経歴書)を基に、合同企業説明会で学んだものを駆使して編集し、何度も何度も読み返し、封筒に入れて送付…
その時の顔は凛々しく勇猛な顔だったに違いありません(笑)
自衛隊を退職するにはしっかりとした理由が必要
自衛隊を依願退職するには「退職理由」が必要です。
部隊がすぐに増やすこと、確保することの出来ない人材(駒)を
「辞めたいです。」
「はいそうですか。」
と、素直に退職させるわけにはいかないのです。
組織のバランスを崩す原因になってしまうのです。
ただ嫌だから辞めたいだけでは、上司から引き止められます。
私は自衛隊の訓練に対するやりがいや、自衛官同士の人間関係に嫌気がありました。
嫌なだけで我慢してストレスを溜めながらも、余暇に発散しながら長年勤務出来ていましたので、退職理由として「嫌だから」は効力の弱いものだと感じます。
退職理由は確固たる意志と次の見通しの表現
あくまでも”表現”ですよ!
私の場合は“内定通知”の強引かつ最強のカードを、準備しようと考えたのでした。
後に服務違反行為だと上司からは叱られましたが…違反行為ではありますが、罰せられたりはしません!
退職前に転職先で、仕事をして給料を貰えば服務義務違反で罰せられますが…
送付から数日後、知らない番号から電話が!
○○の園長の○○と申します。面接日の調整でお電話いたしました。
「うおっ!キターーーーーー!!」
周りに誰もいない場所へ移動し、後日連絡する旨を伝え電話を切りました。
自衛官から動物飼育員へ転職
その夜は予定表を睨み、翌日、警衛下番(警衛勤務明け)の午後に面接をお願いしました。
面接当日、警衛勤務の眠気は午前中の睡眠で解消し、いざ面接会場へ!
「普段着でも構いませんよ。」
とは言われていたものの、失礼にあたると思いスーツ姿で赴きました。
園長とのマンツーマンの面接でした。
園の説明や履歴の確認、応募動機の確認や園での動物の注意事項や様々な危険事項の説明を受け、
私:「最終意思を1週間以内にご連絡いただけますか。」
園長:「園長としては意思があれば歓迎いたしますよ。」
と最終確認を貰いました。
私:「今でもよろしいでしょうか。ここで働かせてください!」
とはっきりと伝えたのでした。
園長:「では、3日後に幹部ミーティングが有りますので、ミーティング後に結果をご連絡いたします。」
3日後の夜、居酒屋で祝杯ビールと好きな料理を目いっぱい楽しむ自分がおりました。
自衛隊へ退職届けを提出
祝杯の翌日、朝一番に上司の元へ。
直ぐさま面談が始まり、次の日には上司・服務幹部・副隊長を目の前に面談を行い、数日後に隊長と面談、無事に退職届の用紙を貰うことができました。
それぞれの面談では「嫌だから」とか「辞めたいから」とは一切口にしませんでした。
あくまでも次の職場を熱烈に希望している旨を伝え、円満退職「立つ鳥跡を濁さず」を目標に、粛々と返納や申し送り、資料の処分や片付け、共済の退職手続きを行いました。
1ヶ月後、飼育スタッフの作業着を着て獣舎を清掃し、お客様が動物を見て喜ぶ顔を傍らで見て微笑む自分が園内におりました。
動物最高!お客様の笑顔最高!自衛隊から転職して本当に良かった!
まとめ:自衛官から転職して分かったこと
転職して分かったのですが、私が好きなのは、「動物に関わる仕事」と、もう一つ、「見に来た人(お客様)を喜ばせ、笑顔にさせる仕事」なのだと気付かされたのでした。
自衛官の頃にはなかった、”笑顔を作り、笑顔を見る仕事“は自分に充実感を与えてくれるのでした。
私は転職する前、民間企業に転職するには取得資格を活用するしかないと思っていました。
しかし、それは私の思い違いで、民間企業では到底経験できないものを経験し身に着けているのです。
- サバイバル・アウトドア能力・知識
- 防災知識、即時行動能力
- 集団統制能力
- 集団協力行動能力
- 危機管理能力
- 救命・応急処置能力
- 縦社会経験による従順性
- 基礎体力・筋力・忍耐力
- 剣先スコップ(円ピ)操作能力
- 人海戦術能力
- 掃除能力、etc
ふとした時にいつの間にか役に立つ知識・能力が元自衛官には備わっているのです。
そして、今の時代、自衛官の印象はかなりの好印象です!
自信をもって転職に向かっていきましょう。